テント技術の豆知識【遊牧民のテント】
遊牧民のテント
有史以前から現在に至るまで使われているものに、遊牧民のテントをあげることができ
る。遊牧民のテントは、その形状から3種に分けられる。
(1)突き上げ形のテント
アラブ(ベドウィン)やイラン(ペルシャ人)が使用している。黒い山羊の毛で編んだ
毛布を材料としたもので、通気性と遮光性に優れている。
チベットにも同様の形状のテントがありヤクの黒い毛で編む。いずれも現在も使用され
ている。
(2)円錐形のテント
ラップ人やインディアンがかつて使用していた。ラップ人は、冬季にはトナカイの毛皮、夏季には縫い合せた白樺の木皮と使い分けていた。一方、インディアンは、バッファローの毛皮を使用していたが、現在ではいずれも現地の博物館でしか見られない。
(3)ドーム形のテント
モンゴルではゲル、内モンゴルではパオと呼ばれ現在も使用されている。屋根と壁面の
両方に骨組みがあり、羊毛を湿らせて叩き、毛を絡ませて作った毛布(フェルト)を被せ
ていて、断熱性に富んでいる。現在では工場生産されたゲルやパオもある。
なお、大阪府千里にある国立民族学博物館に、モンゴルのテントが常設展示されており、名古屋郊外にある屋外民族学博物館リトルワールドには、ベドウィンのテントが常設展示されている。